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2018.05.03

口周りを舐めさせてはだめ! 動物とのふれあいで起こる「人獣共通感染症」

犬や猫に口周りを舐めさせたり、キスしたり、口移しで餌やおやつを与えていませんか? それらの行為は、一見微笑ましく見えますが、人獣共通感染症に感染する可能性もある危険な行為なのです。

人間と動物にかかる「人獣共通感染症」の種類

2018年始めに「人獣共通感染症」によって女性の死亡が確認された、というニュースが流れ、多くのペットオーナーに衝撃を与えました。死亡した女性が感染したのは、人間と動物の両方がかかる「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」と呼ばれるもの。これはコリネバクテリウム・ウルセランス菌によって引き起こされるジフテリアによく似た症状の感染症です。この女性の場合は猫から感染しましたが、猫だけでなく、犬や牛など、さまざまな動物から感染する可能性があります。

 

人獣共通感染症は、コリネバクテリウム・ウルセランス感染症だけではありません。他にも数多くの感染症が存在します。様々な病気は、人がかかった場合、どのようになるのか解説します。

 

・狂犬病

狂犬病は、犬だけではなく、猫やコウモリなどの野生動物からもかかります。噛まれたり、引っ掻かれたりした傷口から感染し、1〜2ヶ月程度の潜伏期間を要します。症状は、発熱や頭痛、倦怠感などから始まり、進行すると錯乱、幻覚、攻撃などの症状があらわれ、最終的には昏睡状態となりやがて呼吸停止、死に至ります。1度発症したら治ることはなく、致死率はほぼ100%といわれています。日本での発生は1957年が最後となっていますが、海外では発症例が報告されています。

 

・エキノコックス症

エキノコックス症というと、キツネからの感染が有名ですが、実は犬からも感染する可能性がある感染症です。単包性エキノコックス症と多包性エキノコックス症という2種類があります。感染初期は無症状が多く、単包性エキノコックス症は、症状が進行すると胆道閉塞(たんどうへいさ)や胆管炎(たんかんえん)を引き起こしたりします。多包性エキノコックス症は、症状が進行すると黄疸や肝機能障害、腹水など重篤な状態となります。

 

・オウム病

トリから感染するオウム病は、人間から口移しで餌を与えたり、オウム病に感染しているトリに噛まれることで発症します。オウム病という名前ですが、オウムだけでなく、インコやハトなどからも感染する感染症です。症状は、高熱とともに突然発症します。頭痛や倦怠感、筋肉痛などのほか、進行すると血痰やチアノーゼなども引き起こします。

 

・トキソプラズマ症

トキソプラズマ症は、一度感染してしまうと、生涯免疫が継続する感染症です。トキソプラズマという寄生性原生生物により引き起こされる感染症で、ほ乳類や鳥類のほぼ全てから感染する可能性があります。健康な人がトキソプラズマ症に感染すると発熱や倦怠感などの症状があらわれますが、妊娠中の女性が感染すると、胎盤を通して胎児にも感染する可能性があるため注意が必要です。

 

・疥癬(かいせん)

強いかゆみを伴い毛が抜ける疥癬は、犬や猫に発症します。疥癬虫と呼ばれるダニが原因で、表皮にトンネルを掘って行くため、強いかゆみを引き起こし脱毛やかさぶた、皮膚が厚くなるなどの症状があらわれます。疥癬に感染した犬や猫と濃厚な接触をしていると人間にも感染し、ほとんど同じ症状があらわれます。

 

・細菌性赤痢

赤痢菌によって引き起こされる細菌性赤痢は、主に輸入されたサルから感染することが多い感染症です。菌を保有しているサルや人間の排泄物に含まれた菌が感染源となります。発症すると動物の場合は、下痢や粘血便を伴った急性大腸炎や発熱などを引き起こします。これは人間が感染したときも同じ症状となります。

周りを舐めさせる「濃厚接触」とは?

うちの犬や猫は家族同然! だから、口を舐められても平気だし、口移しでおやつをあげるのも平気。なんて思っていませんか? 完全室内飼いの猫や、日頃のお手入れが行き届いている犬、かごから出したことのないトリでも、その体内には、さまざまな菌や寄生虫を持っている可能性があります。また、動物は自身の身体を舐めて綺麗にし、尿やお尻などを舐めることもあります。そのため、いくら気をつけていても、人間に病気をうつす可能性は充分にあるのです。

 

口周りを犬や猫に舐めさせる、キスをする、口移しで餌やおやつを与える、などの「濃厚接触」は、一見微笑ましく見えますが、感染症に感染しやすい行為です。また、乾燥した排泄物や抜けた毛や羽根を吸い込んでしまうことで感染してしまう危険もあります。さらに、キスしていなくても、犬や猫などが身体をやたらとかゆがっていたりする場合は、皮膚になんらかの異常が発生している可能性があります。

 

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人獣共通感染症の感染を予防するには

人獣共通感染症の感染を防ぐには、

・手や口周りなどを舐められたら必ず洗う

・口周りはできるだけ舐めさせない

・キスをしない

・口移しで餌やおやつを与えない

・同じ食べ物を犬や猫と分け合わない。

このように濃厚接触はできるだけ避けるようにしましょう。

また、身体をやたらとかゆがっている状態の時に触る場合は、触った後は必ず手をきちんと洗いましょう。さらに、いつも犬や猫がいる場所にあるクッションやベッドなどは、すでに汚染されている可能性があります。場合によってはそれらを処分をしたり、治るまで行動範囲を限定するなどの配慮が必要です。

 

感染症の中には、排泄物を触ることで感染するものもあります。トイレの掃除をする時や散歩中の排泄物を拾うときなど、できるだけ直接触らないようにし、処理後はよく手を洗うことが大切です。また、新しく犬や猫などを家族に迎え入れる場合は、排泄物の検査をしてからにしましょう。特に拾った犬や猫の場合は、排泄物の検査が終わってから触るようにしましょう。

人獣共通感染症は、動物との触れ合い方を注意するだけで予防することが可能です。口周りを舐めさせない、キスしない、口移しで餌やおやつを与えないなどの濃厚接触を控えましょう。また、触った後や排泄物の処理などをした後は、必ず手をしっかり洗う、など日頃の行動を気をつけることが大切です。

「もっと ちゃんと ペット」編集部
「もっと ちゃんと ペット」の編集部。 ペットオーナーが、より長くペットと一緒にいられるような、役立つ情報を探して奔走中。

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